賃料を下げずに空室を埋める方法とは?

2026.04.27
空室が続いたとき、まず検討されるのが「賃料を下げるべきか」という判断です。
確かに、賃料を下げれば検討数が増える可能性はあります。ただ一方で、一度下げた賃料は戻しにくく、その後の収益や物件評価にも影響が出やすくなります。
実際の現場では、賃料を下げなくても空室が埋まるケースは少なくありません。違いを分けているのは価格ではなく、「そもそも検討されているか」「選ばれているか」です。
まずはその構造から整理していきます。
空室が埋まらない理由は「高いから」だけではない
同じエリアでも、すぐに決まるビルと、半年以上空室が続くビルがあります。その差は立地や築年数だけではありません。
特に現在のオフィス市場では、「広さ」や「価格」だけで選ばれることは減っています。テレワークやハイブリッドワークの普及により、企業はオフィスに対して「働きやすさ」や「使い勝手」を重視するようになりました。
その結果、ビルの評価はよりシビアになり、「何となく条件が合う」だけでは選ばれにくくなっています。
つまり、空室が埋まらない原因は単純な価格の問題ではなく、検討の土俵に上がっていないか、比較の中で負けているかのどちらかです。
賃料を下げる前に確認すべき「2つの段階」
空室の原因を整理するうえで重要なのは、「どの段階で止まっているか」を見ることです。
① そもそも検討されていない状態
仲介会社からの紹介が少ない、内見がほとんど入らない場合は、情報が届いていない可能性があります。募集は出していても、「紹介される状態」になっていなければ検討すらされません。
② 検討はされているが選ばれていない状態
内見は入るが決まらない場合は、現地での印象や条件の見せ方に課題がある可能性があります。ここで初めて「条件の調整」が検討対象になります。
この2つを分けて考えないまま賃料を下げると、本来不要な値下げにつながることがあります。
空室が長期化するビルに共通するポイント
実際に空室が続いているビルには、いくつか共通する傾向があります。
・仲介会社への営業が止まっている
・募集条件が長期間見直されていない
・共用部やエントランスの印象が弱い
・管理会社から具体的な提案が出ていない
これらに共通しているのは、「募集しているだけで動いていない」状態です。
現在の市場では、募集を出して待つだけで決まるケースは減っています。
重要なのは、検討機会を増やすための動きがあるかどうかです。
賃料を維持したまま空室を埋めるための考え方
賃料を下げずに空室を埋めるには、「価格以外の競争力」をどう作るかが重要になります。
例えば、同じ条件でも、情報の出し方や見せ方によって印象は大きく変わります。仲介会社にとって紹介しやすい資料になっているか、設備や条件が整理されているかといった点は、成約率に直接影響します。
また、内見時の印象も見逃せません。エントランスや共用部の清掃状態、照明、動線などは、その場での判断材料になります。ここが整っていないと、賃料以前の段階で候補から外れることもあります。
さらに重要なのが、内見後のフィードバックです。なぜ決まらなかったのかを把握し、改善につなげていくことで、次の検討に活かすことができます。
賃料を動かさずに決めるためには、こうした積み重ねが欠かせません。
新栄不動産ビジネスの空室改善の進め方
― 賃料を下げずに“決まる状態”をつくる ―
新栄不動産ビジネスでは、空室対策を「掲載業務」ではなく、「動かす仕組み」として設計しています。
単に募集を出すのではなく、検討機会を増やし、比較の中で選ばれる状態をつくることに重点を置いています。
具体的には、以下の取り組みを組み合わせて実施しています。
■ 検討機会を増やす施策
・アットホーム・レインズ等への掲載による露出最大化
・仲介会社への訪問・情報提供による直接営業
・物件資料の作成と配布による紹介促進
■ 現場での成約率を上げる施策
・募集看板設置による現地認知の強化
・仲介会社向け内覧会の開催
・物件の魅力を伝える現地設計(掲示・動線・見せ方)
■ 改善を回す仕組み
・内見後のアンケート回収
・テナントニーズの分析
・募集条件や見せ方の継続的な見直し
これらを通じて、「なぜ決まらないのか」ではなく、
「どうすれば決まるのか」を具体的に把握し、改善していきます。
管理と一体で進めることで結果が変わる
空室対策は募集だけで完結するものではありません。建物の管理状態や日常運用も大きく影響します。
新栄不動産ビジネスでは、PMとBMを一体で運営しているため、清掃や設備管理といった日常の状態改善も同時に進めることができます。
その結果、内見時の印象が改善され、賃料を下げなくても選ばれやすい状態をつくることが可能になります。
また、窓口が一本化されることで、対応スピードや情報共有もスムーズになり、改善施策を継続的に回しやすくなります。
空室対策は「賃料」ではなく「動き」で変わる
空室が続くと賃料を下げる判断に目が向きがちですが、それだけでは根本的な解決にならないこともあります。
現在のオフィス市場では、検討されるかどうか、選ばれるかどうかをつくることが重要です。
そのためには、募集を出すだけでなく、実際に動いているかどうかが大きな分かれ目になります。
もし空室が続いている場合は、賃料を見直す前に、現在の募集方法や管理体制が機能しているかを整理してみることが重要です。